蒼詩集

愛や不安や葛藤などを言葉にして綴るポエムです。あなたの心に何か響くものがあれば幸いです。コメントも頂けるとありがたいです。

太陽と月の追いかけっこ


海の水分が蒸発して雨が降る


雨は川を下りいずれ生まれたところへ還る


ただこの繰り返しの雨の人生


僕らはどうなんだ?


明日が来ると言われて


僕らはそれを疑わないし


ほんとに何もしなくても明日は来る


その確率は100%ではないかも知れないけれど


生きている限り明日は来る


いや、僕がここにいなくなっても陽は昇る


太陽と月は絶えず追いかけっこして


僕らのことなんて見てはいないんだから。


ただ毎日遊んでいるだけなんだから。


僕らのために動いてるわけじゃない。




画面の中で


病気でなくなる人のエピソードが流れる。


感動的にまとめられて泣くこともある。


明日からちゃんと生きなきゃと思う。


でも


その「明日」にはもう忘れていないか?



泣いたことで快感を感じ


いつもよりよく寝れたのではないか?


そしてまた昨日と同じ「今日」を生きる


そこに違和感はない。




雨は自らの繰り返しの人生を変えることはできない。



僕らは違う。



繰り返される「明日」をどう生きるかは


自分で選択しているのだから。


つまらない毎日


つまらない人生


それを選んでいるのも僕らだ。


蒼連

夢見た大人


小さい時いつまでも子ども扱いされるのが嫌で


早く大人になりたいと思っていた。


自分でなんでもやりたくなった。


自分はもう大人なんだって。




何度目の四季を巡り


おもちゃのコインは硬貨に変わり


ペダルをついた車はガソリンを飲む物へと変わった。


よだれかけはレストランのナプキンに。


そして


大きかった親の背中が



小さく見えた。



ようやく大人になれた。



けど



電車に揺られ


たくさんの書類をまとめる日々。


たくさんの人の中にいるのに


人ごみの中で埋もれていても


隣の人の温度を感じることはない。




「それはダメ!」


「なんでそんなミスするかなー」



小さい頃夢見た大人は


いつになっても叱られていて


泣きたくなって


慰めてほしくて。



大人の形をした鋳型に


早く大人になりたくて飛び込んだのに


出来上がった大人は脆くて。



あの時夢見た大人。


以前より面倒なことが増えただけで


子どもの僕から何も変わってなかった。



ただ、そう気づけたことは



僕が「大人」になれたってことだ。



蒼連

自由という束縛を生きる



僕たちはどこを目指し


どこへ向かっているのか



まだ幼かった頃


親が敷いたレールの上を歩くことが当たり前で


親から認めてもらいたい


親に嫌われたくないと


いつしか親の顔色を伺うように生きていた。



誰かの作ったレールの上を歩くのは


自分の意思とは関係なく


ただまっすぐに進む。


その先に何が待っているかなんて


そのレールを敷いた人ですら分からないのに


その先に待っている幻想へと僕らを向かわせる。



自分って何なのか知りたくて


自分でどれくらいできるのか知りたくて


自らレールを外れてレール脇の草花に飛び込んだ



思った以上に地面は固かったし


雨に濡れた草花は青い匂いがした



もう列車は行ってしまった。


もう戻ることはできない。


ただ、土の硬さ、草花の匂いを初めて嗅いだ。


僕の中が温かく感じた。


生きてるって思えた。




自分で求めた自由。


自由が故に、自分の意思に拘束される。


でも、自分で決めた道を進む。


痛みを感じるために。



蒼連